最初に
9月の良かった曲の後半戦。今回の5曲は、前半の5曲と比べると、アップテンポな曲が多い印象になった。
それでは後半5曲を紹介!
⑥我武者羅/CHiCO with HoneyWorks
テレビアニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』のオープニングになっているこの楽曲。鋭さすら感じるロックナンバーである。
『BORUTO』のタイアップ曲といえば「疾走感」なので納得なのだが、CHiCO with HoneyWorksの楽曲としてはイメージと違うタイプだった故に、意外性やギャップにやられた。
「世界は恋に落ちている」の印象がめちゃくちゃ強かったのでそう思ったのだろう。
対極と言っても差し支えないほど、系統が違う。
のっけからエッジの効いたギターがえらく主張してくるが、それと相対するように歌うCHiCOさんの歌声も負けず劣らずでぶつかってくる。
さながら演奏と歌声のバトルだ。
「いいぞ!もっとやれ!」とすら思う。
歌い出しからエネルギー全開でくるので、滾らないわけがないし、分かりやすくテンションも上がる。
ストレートにテンションが上がるという意味でも、バトル系のマンガやアニメにはまさにピッタリだと思う。
また、歌い出しのサビと2回目のサビで早くも転調するのも面白い。
ラストのサビで転調するのはよくあるが、このタイミングでの転調はあまり耳にしない。
他にもそういった曲はあるのかもしれないが、個人的には珍しいし、新しいなと思いながら聴いていた。
あとはCメロ以降のジェットコースターのような展開の上下動もたまらない。
Cメロとギターソロで上げていって、サビでキーを下げて抑え、ラストのサビでまたキーを上げて、テンションを高めてラストまで進んでいく。
王道の展開ではあるが、王道こそやっぱり最高だなと感じる。
分かりやすくて、ストレートなロックに気持ちを昂らせてみてはいかがだろうか。
⑦愛のけだもの/神はサイコロを振らない×キタニタツヤ
前回のBiSHのアユニ・Dさんとヨルシカのn-bunaさんとのコラボも記憶に新しい神サイ。
今回コラボ第2弾のお相手となったのはシンガーソングライターのキタニタツヤさん!
神サイのボーカル柳田さんとキタニさんの共同で作詞作曲しているのだが、異なる二人が作ったとは思えない、しっかりとした1つの世界観が印象的である。
男女の歪んだ色恋がテーマの色気がある曲である。
しかし、第一声からなんてエロい歌声なんだろうか。歌い方にしっかり色気があって、微細ではあるかもしれないが、そういった所から世界観を表現しようとしているのが聴いていて伝わる。
イントロのファンクなギターのフレーズもいい。
サビのメロディの印象が強いのは当然として、イントロもそれに負けじと強いインパクトを残している。個人的に好きなフレーズ。
あとはデュエットらしいハモりも楽しめるし、サビでは逆にハモらず、ユニゾンで歌う事で、強いサビによりブーストをかけている気がした。よりパンチが強くなってまた良い。
二人分の歌声が楽しめるのは言わずもがなだが、同じメロディでも歌い方を細かく変えている(ファルセットを使ったり、使わなかったりなど)所なんかも、かなりマニアックだが聴いていて飽きない部分の1つである。
デュエットの時点でいろんな声が聴けて楽しいのに、更に細かく歌い方も変えてくれると、聴き応えは更に増していくのが分かる。
テーマは重たいが、曲調は軽やかなせいか、聴いていて楽しくなる不思議な曲だった。
⑧PARADISE(Kill The Silence)/coldrain
coldrainの新曲は、ライブやライブハウスの事を分かりやすく、そして熱量を込めて歌っている楽曲。
CDのジャケット写真やMVの撮影場所が、もうすぐで閉店してしまう新木場STUDIO COASTという時点で既にアツい。
彼らも数多くのライブをした会場でもあるそうだ。「ライブハウス」といってこの会場を思い浮かべる人も多いだろう。
内容も、ライブやライブハウスを「パラダイス(=楽園)」に喩えている。分かりやすい。
サビの歌詞が我々ライブ好きには共感できて、とてもいい。難しい言葉は必要なくて、ただただ納得する言葉だった。
「身体が止まらなくなるくらいの音を鳴らそう」
「静寂を殺して」
個人的にも久しくライブに行っていないので、これらの言葉達を聞いただけでもゾクゾク、ワクワクしてしまう。
英語詞、日本語訳詞ともにMVの概要欄に掲載されているのでサビも勿論だが、そこ以外も是非読んでもらいたい。
以前紹介したヘイスミの「Be The One」も然りだが、この曲も「バンドはライブやってなんぼ」なんだというのを改めて感じる。
今はライブに行ったとしても一緒になって歌えないが、明らかにオーディエンスに歌ってほしい意図が見えるパートがあるのも嬉しい。歌詞でいうところの「loud」や「up」のあたり。
気兼ねなく歌える未来を見据えているのだろう。そんな未来が早くきてほしいと聞きながら思わせる一節である。
彼らのようなラウドロックのバンドのライブに魅せられた人なら、まず刺さらない人はいないのではないかと思う。
⑨アリスは夢を見ることが出来ない/カノエラナ
シンガーソングライターのカノエラナさんが9/22にコンセプトアルバム『昼想夜夢(ちゅうそうやむ)』をリリースした。
「ファンタジー」がテーマになっていて、『シンデレラ』や『赤ずきん』など童話をモチーフにした楽曲が並んでおり、1枚のアルバムがひとつの曲になっているかのよう。
統一感がお見事なのだが、その中でも、1番キャラクターが立っていると思ったのがこの曲である。
タイトルから分かる通り、『不思議の国のアリス』を引用した楽曲なのだが、ファンタジーの権化ともいえる原作と比べると、この曲の歌詞はどこかリアルで、対比を感じる。
心は子供のままで、体は大人になってしまった苦悩のようなものを感じる。
更に原作では、アリスは夢を見る事で物語が進むが、この楽曲のアリスは夢を見る事が出来ないとしている。真逆である。
深掘りすればするほど、様々な考えが浮かびそうな意味深長な言い回しが多い。原作とは違う世界線の物語を読んでいるみたいだ。
現代版アリスにも思える。夢を見られずに大人になっていく苦悩のようにも読める。
そして、メロディやアレンジが切なくて、儚げで歌詞の世界観をより一層引き立ててくれる。
特に、2番のサビに入る前に聞こえるピアノがいい味を出している。たった4つの音なのに、切なさを感じられるし、更に切ないサビへの導入という役割も果たしている。
あと、Aメロがまたラストに来るのも良い。小説のようなこの曲を最後にまとめてくれている。
初めて聴いてからずっとリピートしているが飽きずに聴けてしまう。個人的には今年有数のヒットかもしれない。(まだ9月なのだが)
⑩根も葉もRumor/AKB48
前作から1年半ぶりのリリースとなった。AKB48がここまでリリース間隔を空けるのは珍しい。最近は坂道グループに取って変わられたり、紅白歌合戦を逃したりと辛酸を舐め続けている印象があった。
確かに今思えば私自身も、最近のAKBの曲はテレビで耳にする事はあっても、覚えている曲・印象に残る曲というのはなかったと感じる。
しかし、今回の曲は聴いた瞬間すぐに刺さるほどだった。間隔が空いたのがかえって、AKBの再出発を演出している。
歌詞にも今までの彼女達の楽曲のタイトルや歌詞がちりばめられているのが面白い。
過去を振り返るという行為にも再出発感があって良い。
そして、キレキレのダンスやらギターが入ったサウンドという事で、かっこよさ、クールさに目を奪われがちである。
しかし、そちら側に全振りせずに、ポップな部分や少し大袈裟な展開(個人的にギターソロ→大サビがクサくて大好き)がある事によって、より聴きやすく、アイドルだからこそ歌える曲になっている。
あとは頭から離れない「Rumor」連発のキャッチーなサビでとどめ。rumorという単語の意味が気になって仕方なくなるほど連呼している。
久しぶりに耳にこびりつきまくるAKB48の曲が出てきた印象。個人的には今年の48グループ、坂道グループの曲の中で今のところ1番好きかもしれない。
これを上半期のもっと早い段階でリリースしていたら、更にバズったのではないかと少し惜しい気もするが、「AKB48ここにあり!」を感じられると思うので聴いてもらいたい。中毒性も高いのでリピートして聴いてしまう。
最後に
という事で、9月の良かった10曲を紹介させてもらった。Spotifyでのプレイリストはこちら。
9月の月始めに紹介した和田アキ子さんの「YONA YONA DANCE」も入れたかったが、泣く泣く選外となった。
それ以上に気に入った曲が多かった9月は選ぶのに大変困難を極めた。
そして10月だが、既に候補曲で10曲を超えそうな勢いである。今から選考が大変だ。
それでは10月の良かった曲の紹介もお楽しみに。
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