最初に
11月になり、2021年も残り少しの印象が強くなった。そして冬に近づいているのもあり、冬ソングともいえる楽曲が出始めて、冬の訪れも体感だけでなく、耳でも感じられる季節になった。
そんな11月はどんな良かった楽曲があったのか、紹介していきたい。まずは前半5曲を。
①悪魔狩り/日食なつこ
ピアノを弾きながら力強く歌う姿がいつも印象的な
日食なつこさん。存在は同郷という事もあり、知っていたが、ハマるきっかけが正直まだなかった。
しかし、今回の「悪魔狩り」はかなりかっこよくてハマるきっかけになった。ジャジーなアレンジがたまらない。
ホーンが入ってくる感じもいいなぁと思っていたら、トランペット担当がSOIL&PIMP SESSIONSのダブゾンビさんだった!そりゃいいのも当たり前か。かなりラッパがいい味を出している。アレンジの要ともいえる。
悪魔と決めつけ、リンチや迫害、追放などの私刑にする事を「悪魔狩り」や「魔女狩り」というが、それをモチーフにした楽曲になっている。
イントロで気を引かれ、歌が始まった瞬間から楽曲の世界に一気に引きずり込まれる。
さながら「悪魔狩り」という一冊の本を読んでいるかのよう。
表紙をめくって、そのまま本の世界に吸い込まれてしまったようだ。
そして、ストーリーテラーのように歌うなつこさんの声にはゾクッとする程の臨場感がある。ラストに向けての歌い方なんてもはや恐怖すら感じる。
そして、現在もSNS等で見られる度が過ぎる言葉なども「魔女狩り」に通じるものがある。
当人は正義のつもりでも知らない間に狩る側になっていき、そしていつか狩られる側になる可能性も秘めている。
魔女狩りはとても近くで起こっているのかもと考えると更にゾッとする。ある種の現代への警鐘ともいえようか。
自分はそうではないかと省みながら聴いてしまった。
こういったテーマの曲は今までもあったが、ここまでゾクゾクする歌に聞こえるのは彼女の表現があってこそ。なかなか聴けない。
日食なつこさんを今まで知らなかった方々にも聴いてもらいたい曲。
スウィングジャズっぽいアレンジは邦ロックにも馴染みはあるし、聴きやすいし、かっこいいと思えるのではないだろうか。
②Babel/sumika
イントロや演奏だけを聴いたら「どこぞのミクスチャーバンドだ!?」>と思うかもしれない、sumikaの新曲。
音に攻撃性があって、ダークなイメージ。
「闇落ちしたsumika」
「ワルいsumika」
みたいなキャッチフレーズを付けたくなる(笑)
MVも珍しくメンバーメインのものではなく、ボーカル片岡さんのみ出演。色味も暗く、展開も怖いほど。
ますます今までのsumikaとの違いがはっきりしてくる。
アルバムのリード曲かと思っていたら、12月にリリースする「SOUND VILLAGE」という4曲入りEPのうちの1曲というのが分かった。
更にその1トラック目っていうんだから、「攻めに攻めたな」という印象が更に濃くなる。
編曲とサウンドプロデュースをTeddyloidさんが手掛けている。
もともと、エレクトロを得意にしているプロデューサーというのもあって、今までのsumikaにはなかったデジタルな音色が印象的。
そして、刺々しさも感じるサウンドが個人的にはかなり大好物。間奏のカオスな感じとか頭狂ってきそうでいい(笑)
歌詞も曲と相まって、救いが無いほどに暗い。
最後のワードが「消えるね さよなら」ときたもんだ。救いが無いという表現も分かるかと思う。
今までのsumikaなら明るくない曲でも、ここまで暗い歌詞は乗せていなかった。ここにもsumikaの新しさが覗ける。
これまでのシングルの明るい曲達は、この「Babel」のための伏線だったのかと思うほど、曲調の振り幅にただただ驚かされる。(YouTubeで聴いたら次に「Lovers」が来たもんで、余計に驚いた(笑))
他の3曲も気になって仕方がない。
是非皆さんにもsumikaの進化と深化を堪能してもらいたい!
③ZOKINGDOG/アイナ・ジ・エンド
3ヶ月連続でリリースを敢行中のアイナ・ジ・エンドさん。第2弾のEP「DEAD HAPPY」に収録されているこの曲が、個人的に良かったのでご紹介。
先程の日食なつこさんの「悪魔狩り」よろしく、こういうジャズのようなアレンジがとても好きで、無意識に良い判定をしてしまうところがある。でも好きなものは好きなので致し方ない(笑)
この曲の作曲やアレンジにはスカパラのギタリスト加藤隆志さんが携わっていて、バンドメンバーにもスカパラの面々がいらっしゃる。
そして、ここでもトランペットは、日食なつこさんの「悪魔狩り」と同じくSOILのダブゾンビさん!
働きすぎでは!?(笑)
こういった面々が携わっているので、この曲はホーン隊のアレンジが効きに効きまくっている。もはやそれを楽しむ為の曲だとすら思う。
こんなクールなアレンジなのにサビで「わんわん」するのがまた良い。
そんなポップさを一手に引き受けられるのはアイナさんのキャラクターあってこそ。
アイナさんの歌唱力、表現力が素晴らしいのは今更言うまでもないのだが、ポップやかわいらしい部分を引き受ける役割は、BiSHではあまり見られないので、ソロならではの新鮮味がある。
クールさとかわいらしさを合わせ持った彼女だからこそ歌える曲なのかもしれない。
更にこれで歌詞も彼女自身が書いてるというのだからおそろしい。
「生乾きな遠吠え」なんて表現をどうしたら思いつくのだろう。
歌わずしての、文字のみの表現力もあるのかよ…。
あとはMVで観られる、わんわんの振り付けもかわいらしくて、ここもポイント高い。加えて、バンドメンバーが踊っている所もポイント加算(笑)
まぁ、四の五の書いてはみたものの、単純に「賑やかで楽しそう!ノレる!」が選んだ理由の総評かもしれない(笑)
細かい事を気にせず楽しくなれる1曲だと思った。聴いても、歌っても、演奏しても楽しくなれそうでいいな、この曲。
④リジー/上野大樹
以前「ラブソング」という曲が気に入り、存在が気になっていた、上野大樹さん。
今回の「リジー」は素朴な世界観が心にぐっと染み込む暖かい曲だ。
音楽としての情報量がそこまで多くなくて、飾り気がない等身大の言葉や音が素敵だと感じる。
メロディがとても優しくてお気に入りなんだよなぁ。メロディが既に良いので、アコギの弾き語りでも十分聴ける曲だ。
サビのメロディと歌詞が染みる。
「優しい貴方に出逢えたからここまでこれた気がしたよ」
言葉だけでも十分暖かみがあるのに、メロディに乗せるとこうも暖かみが増すものなのか。
そう感じるくらい素敵なメロディだと思う。歌うにも容易なメロディなので口ずさみたくなる。
口ずさみたくなるといえば、最後の「ラララ」の合唱パートも素敵だ。
「1人ではなく貴方かいたからここまでこれた」
という1番伝えたかったであろうメッセージを伝えるうえで、「みんなで歌う」という行為は整合性がある。
伝えたい事がよりはっきりしてくる様子が分かるのがまたいい。
時代を先取る音楽ではないのかもしれないが、時代性を感じないからこそ普遍的な音楽になりうるし、いつ聴いても古くならない、いつまでも魅力的だと感じる曲である。
飾らない言葉や音楽性が個人的なツボを捉えてくる。上野大樹さんのこれからが気になって仕方がない。
⑤Higher Love/MISIA
ニューアルバム「HELLO LOVE」に収録される1曲というなのだが、あのMISIAさんと藤井風さんのコラボだという事で話題になっている楽曲。
彼女の迫力ある歌声を存分に、余すことなく出し切った素晴らしい曲だった。まずその感想に尽きる。
あとは、コーラスをガンガンに効かせたり、クラップしたり、大人数で歌っているようなアレンジかたまらなく最高だなぁ。このゴスペルっぽさに冬を感じる。
そして、コーラスを従えた時のMISIAさんはもはや鬼に金棒状態!
素晴らしいコーラスの上に、素晴らしい彼女の歌声が君臨すれば、良くないわけがない。
そして、初めての楽曲提供とは思えない藤井さんの曲を作る地力も感じる。
自分の色を出すか、合わせた曲を出すかそれぞれの良さがあるので、一概にどちらがいいという事ではないが、他者にも合わせた曲が書けるのはすごい。もっと自分の手癖がもっと色濃く出ても不思議ではないのに。
しかしそうは言いながらも、藤井さんが歌っても違和感がなさそうだ。雰囲気をつけて歌ってしまいそうだよなぁ。
この曲は、誰が聴いてもこの壮大さに圧倒され、感動するのではないだろうか。
最後に
まず、前半5曲だったが、今回は同じホーンアレンジが効いた曲を期せずして2曲選んだのがトピックとして大きい。
かたやクールで、もう一方はポップで。
と似ている曲調でも、歌う人やサウンドプロデュースひとつで印象はガラッと変わるというのを改めて実感した。奥深い。
そして今回はソロアーティストが多くなった。いつもはバンドが多めになるので珍しい光景かもしれない。
残りの5曲は次回の記事で!それでは。
良かったらTwitterフォローもよろしくです!
@numacchinooto