最初に
9月は秋めいた曲が例年より多くリリースされた印象。その絶対数に漏れず、秋を感じさせる曲もそれに比例して多く選ぶ事になった。
今回も無理矢理10曲に絞ったといっていい、ラインナップ。苦渋の選択。今回は9/26までのリリースまでで締め切り。まずは前半5曲を紹介しようと思う!どうぞ。
①fade/04 Limited Sazabys
フォーリミ久々(1年ぶり?)の新作は「fade」と「Just」のダブルA面シングルとなった。 スリリングかつ疾走感のある「fade」。明るく爽やかな「Just」。
対照的ながらどちらもフォーリミらしさを感じる、ダブルA面にする意味が大いにあるシングルといえる。
どちらも良かったのだが、私は「fade」を推したい!
このヒリヒリするような感覚がする展開がフォーリミっぽいなと個人的に思う。今までの楽曲で例えると、「knife」や「fiction」に近い感じと言えば、この「ヒリヒリ」も分かってくれるのではないだろうか。
相変わらずえげつないテンポのドラムも「これだよ、これ!」とフォーリミらしさを感じて思わずにやけてしまう。
3分にも満たない楽曲だが、この短さで自分達の色を濃く出せるのは流石の一言。
3分未満の曲で勝負する大会が仮にあったとしたら、フォーリミは優勝候補だろうな。(WANIMA辺りもいいとこ行きそう)
あとは個人的な嗜好なのだが、この曲のギターリフめちゃくちゃ好き!ローポジション寄りのシンプルなリフなのだが、シンプルだからこそ見える潔さや王道っぷりが好きなのだ。
いいところを挙げ出したらキリがないほど。
久々の新しい04 Limited Sazabysが聴けた事にテンションが知らず知らずに上がってしまっている。自分の想像以上にフォーリミに飢えていたのかもしれない。
バンドとして苦難もありつつ進んだ後の新曲だったので「おかえり!」と言いたくなる嬉しい1曲だった。
②悪者/くじら
くじらさんと聞くと、「春を告げる」や「金木犀」など曲を提供する側のイメージが強く、自ら歌うイメージがあまりなかった(ボカロPでもあるし)。
ボカロで作った自分の曲をセルフカバーしているのは知っていたが、あくまでカバーであり、ボカロありきで作った曲である。
そのため自ら歌うための曲となると、どういった曲になるのだろうと気になりながら再生ボタンを押した。
きっとサビなんだろうと思わせる歌い出しから始まり、そこから胸がぐっと苦しくなるような切ないメロディをギターが奏でている。実質イントロのようなものか。
この始まり40秒足らずで、あっさり心を鷲掴みにされてしまっていた。「あ、これ好きな曲だわ」と確信。
こういった切ない曲は非常に大好物なのだが、切なさをどう表現するかでそのアーティストの個性が出てくる気がしている。
今回の「悪者」は、音源のみで聴いていると、単純に別れの歌かと思っていた。
しかし、歌詞をじっくり読んだり、MVと一緒に聴いたりしていくと、浮気の歌にも聞こえてくる。
長くは続かない関係で、終わりがいずれ訪れる事が分かっている状態。そんな情景が浮かぶ。
「報われない色恋」はどうしたって切なくなるテーマである。終わりが見えている状態はとても切ないが、美しくもある。
そして、タイトルは「悪者」
自分たちが良くない関係(=悪)であることは分かっているのを表す言葉としてぴったりだ。
そしてこの曲、くじらさんが本人で歌った後に、歌い手の相沢さんが歌ったバージョンも発表している。
女性が歌うとまた雰囲気が変わって、同じ曲でもまた違った楽しみ方ができる。キーが違うので当たり前ではあるのだが。
MVもよく観ると、くじらさんバージョンの続きからになっていて、ストーリーがリンクしているのも面白い。
同じ1曲ではあるが、様々なアプローチから楽しめる曲になっている。
1曲でここまで多面的に楽しめるのはコスパが良すぎる。
③Club Moon/femme fatale
全体を通してのキラキラした華やかさ、ポップ感がとても気に入って、今回気に入った曲に入れてみた。
初めて聴いたため、いつものようにアーティストを調べてみると、
元ZOCの戦慄かなのさんとその実の妹の頓知気さきなさんによる姉妹アイドルユニット
というのが分かった。しかも自分たちでプロデュースしているというから驚き。
2018年から活動しているとの事で、ZOCは知っていたが、こちらは全く知らなかった。見識が広がっていく。
曲の方は作詞作曲が水曜日のカンパネラのケンモチヒデフミさん。余談だが、5月にもケンモチさんが作った曲を選んでいた。(平井堅さんの「1995」)
「Club Moon」というタイトルの通り、月にあるクラブを舞台にしている。
踊る事を忘れた地球人が月にあるクラブを見つけ、ウサギと一緒に踊り、騒いで楽しく過ごしていく。
要約するとこんなところか。
歌詞だけを読んでいてもファンタジーである。
あり得ない情景なのに何故か画が浮かぶような言い回しが見事だし、かわいらしさも同時に感じさせるのが更にすごい。
誰でも歌えるような曲ではないだろう。アイドルのようにキラキラしたかわいさがないと、なかなか世界観に説得力が出ないと思う。
曲のかわいさに二人が負けていない。相乗効果で、何ならより魅力的に見えるほどだ。
MVでもこの曲の良さである「ファンタジー」と「かわいい」を二人のダンスやビジュアルによって、更に増幅させている。
不思議と何度も聴いてしまう。何故だろう。聴いているとワクワクする。
かわいい
ファンタジー
ポップ
複数の要素がいい塩梅で混ざり合った素晴らしい曲だと思う。
④絶対零度/月詠み
9/8にアルバム『欠けた心象、世のよすが』をリリースした、月詠み。1stアルバムとなる今回の先行曲となっているのがこの曲。
7月に「真昼の月明かり」を紹介した時には、ピアノとギターの絶妙な調和が印象的だった。今回もそのバランスは保ちつつも、軽快なドラムと歌い回しの自由さが際立つボーカルの方がより印象的だった。
まずドラム。ドラムは前回と同じく、サポートドラマーは矢尾拓也さん。
ステップを踏みたくなるような軽やかなリズムに耳を持っていかれる。よく聴かれる王道のリズムパターンだが、いつ聴いても飛び跳ねたくなる。改めて楽しくなれるリズムだ。
更にボーカルのmikotoさんの歌い方のパターンの多彩っぷりも聴いてて楽しくなるもう1つのポイントである。
澄んだ声で歌ってみたかと思えば、こぶしのような節回しがあり、巻き舌を交えるパートがあるなど、1曲に詰め込むのなんのって。
ボーカルが何人かいるのかと勘違いしてしまいそう。様々な歌声を1曲の中で聴けるのはシンプルに得をした気分になる。
前回紹介した「真昼の~」は綺麗な世界観がとりわけ印象に残ったのだが、「絶対零度」では、その綺麗な世界観に激しさ・荒々しさがプラスされている感じがした。またベクトルが異なった曲である。
これもmikotoさんの激しい歌い方に印象が導かれているのかもしれない。ボーカルの声色ひとつで楽曲の世界観も随分と変わる。
この曲のみならず、アルバムそのものも聴いてみたが、更に異なった顔をいくつも見せている。
今まではキーボードのユリイ・カノンさんがメインで曲を作っていたが、このアルバムではギターのエポックさん、ベースのとうかささんも作詞作曲している楽曲もある。
メンバーそれぞれが曲を作れば、そりゃ異なった色が見られるはずだ。底は計り知れない。
「絶対零度」や『欠けた心象、世のよすが』を聴いて、月詠みのいろんな顔を体感してもらいたい。
⑤innocence/ACIDMAN
10/27にニューアルバム『INNOCENCE』をリリースするACIDMAN。その中から、表題曲「innocence」を先行配信した。
彼ららしい、壮大な宇宙を思わせるスケールの曲。本当に宇宙やら星やら、天体を歌わせたら映えるバンドだとつくづく思う。
今回の「innocence」で宇宙を感じたのは、全編で絶えず鳴っている、綺麗に澄んだギターのアルペジオ。
無数に鳴り続けている音の粒はさながら、満天の星空を見ているかのようだ。
そこから、「もう少しでサビが来ますよ」と予告しているも同然なBメロの王道展開からの、解き放たれたようなサビの流れがたまらない爽快感をくれる。
歌詞も抽象的ではあるが、スケールの大きい曲であるなら、細かい描写をする方がかえって野暮というものだ。具体性を持たせないくらいが丁度いい。
その方が、世界観の大きさが際立つのだ。
こんなめちゃくちゃデカいテーマの曲を演奏しているのがスリーピースバンドっていうのもなかなかいい。
バンドでの最小限といっても過言ではない形式で、ここまで壮大な曲を作れるのだと思うと感動的とすら思える。
ACIDMANの十八番をしっかりと見せつけてくれる1曲だ。今度のアルバムが楽しみで仕方なくなってしまった。
最後に
先に「秋めいた曲」と話をしたが、今回の5曲でいうと、くじらさんやfemme fatale、ACIDMAN辺りだろうか。
秋の夜長という言葉があるように、個人的に秋は夜をイメージするので月や星にまつわる楽曲が似合うと感じる。
そういった意味で、夜を簡単にイメージできるこの3曲は特に印象に残ったといえるかもしれない。
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主に音楽のさもないつぶやきしかしてないが、よろしければ。
そして、後半の5曲の紹介は次の記事で!それではまた次回。