最初に
酷暑が続く7月だったが、音楽も夏を感じさせるものがグッと増えてきた印象。暑いのは嫌いだが、夏の曲は好きなのでそれに関しては悪くないと思える。
今回は15曲選んだ。個人的には年間ランキングにも絡みそうな曲も多かった。そのくらい良い曲が並んだ7月を振り返ろうと思う。
2023年7月良かった曲
①フラッシュバック/saji
②大団円(feat.ZORN)/RADWIMPS
30周年を迎えたJリーグの新たな公式アンセムになったRADWIMPSの「大団円」。
シンプルがゆえに強烈な印象を残すギターリフが終始頭から離れず、その上を独白のような言葉達が次々と押し寄せる。何があっても前に進むという覚悟を感じられる曲になっている。
RADWIMPSの以前のサッカータイアップだった「君と羊と青」や今までのJリーグアンセムである春畑道哉の「J’s theme」が希望ある晴れやかなメロディだったので、今回の曲もアッパーな曲調でくるのかと思っていた。
しかし、見事に裏切ってきた。むしろシンプルに明るい曲では面白みに欠けていたかもしれない。
うまくいかないことも多かったJリーグ。明るいだけではなかったのも事実で、あえてそこにフォーカスを当てることで今までの30年とこれからに重みが出る気がした。Jリーグのドラマが可視化されている曲にも思える。
あと、歌詞も好きだったな。スポーツをやるにあたって力がみなぎるような言葉が並ぶ。特に、
「挑戦といえば聞こえはいい 情熱といえば聞こえはいい やめないんじゃなくやめらんねぇ 理由なんて知るか かっけーだけ」
のフレーズが気に入っている。格好つけずに感覚的に話すような言葉に、熱量と理屈ではない衝動が詰まっているのがいい。こういった言葉の方がストレートに刺さるのは言うまでもない。
Jリーグファンからも多少賛否あるようだが、私はスポーツ特有の力の滾りやドラマティックさを表現したこの曲は間違いなく「賛」だと思っている。
これからのJリーグでも流れる機会が増えそうだし、今までのアンセム同様、定着していってほしいと思う。
③マーメイド/水曜日のカンパネラ
④飛天(feat.R-指定)/Ayase
キレ味鋭い疾走感のあるサウンドとAyaseとR-指定の掛け合いが実に心地よくて、即座に「良い!」と思える曲だったなぁ。「飛天」は。
以前、Creepy NutsとしてR-指定とコラボはしていたAyaseだが、自らが歌う楽曲としては初めての合作となった。
その時の「ばかまじめ」は緩やかな曲調が印象に残るものだった。
しかし、今回の「飛天」はうってかわって、ダンサブルなリズムとギターが効いたロックなアレンジとなり、そこにメロディアスともいえるラップが見事に調和していて前回とはまったく違った良さがうかがえる。2人共どんな曲調もこなせて器用だよなぁ。
Ayaseもバンドをやっていたし、R-指定も今までロックバンドとのコラボもやってきたので、今思えば納得のいく落とし所ともいえる。
ただ、この部分に関しては編曲に携わっているRockwellの貢献も大きい。
今まで数々のバンドサウンド寄りのボカロ曲の編曲に携わってきたRockwell。(特にDECO*27作品の編曲は彼のものが多い)
激しくはあれど決してマニアックにならず、分かりやすさも残す絶妙なアレンジはどの作品にも共通していて、「飛天」もそれに漏れていない。
激しいアレンジ一辺倒にならず、2番は和を思わせるサウンドを混ぜ、違和感を持たせるなどして、飽きさせない工夫を感じる。
メロディや掛け合いが素晴らしいのはもちろん、アレンジにも心奪われた1曲だったな。
⑤ハイド・アンド・シーク/NOMELON NOLEMON
⑥アマリリス/BLUE ENCOUNT
⑦青のすみか/キタニタツヤ
⑧向日葵/Ado
⑨ブルー・サマータイム・ブルーズ/ズーカラデル
ズーカラデルの切ないやつに間違いはないなと改めて思わせてくれた今回の曲。
まずタイトルに食いついてしまう。「ブルーズ=悲しみの音楽」に更に憂鬱さを表す「ブルー」が頭にくっついているんだもの。
これで明るい曲なわけがないと、切ない曲が好きな私は聴く前から楽しみになってしまう。
明るく爽やかな曲調とそれに相反する切ない歌詞が自分の嗜好のどストライクをついてくる。ありがとうありがとう。
冒頭から「ドアをあけて 夏が始まってる 君はいないが」ともう既に切ない。次の言葉我気になるいい導入部分だなと思う、個人的に好きなフレーズ。
聴き進めると、どことなく懐かしさと哀愁を綯い交ぜにしたような感情になるのがまたたまらない。
切ないのは間違いないのだけど、その塩梅がバツグンで、「ほんのり切ない」くらい。大袈裟な切なさではないのがかえってリアルで、誰にでも刺さる曲にしている。
等身大で、だけど巧みな表現力もある歌詞がズーカラデルの魅力かなと改めて思わせてくれた。
コードは切ないものの、曲調としては「明るい」「爽やか」、「青い」といった印象が先にくる。ライブで皆で歌えそうな箇所もあって、それも明るく聞こえる要素になっているのかも!
切なくて湿っぽい曲なのに、そこまで暗さを感じさせないアレンジがのおかげで、繰り返し聴けるほどの軽快さにしている。
7月なので、相次いで夏を思わせる曲が発表されているが、早くも2023年の夏を思い出す曲が出てきた感じがしている。
⑩Summer Ghost/I Don’t Like Mondays.
⑪トコシエスタ/ササノマリイ
⑫軌跡/ラックライフ
⑬ATARI/Ayumu Imazu
⑭Crack-Crack-Crackle/CLASS:y
⑮スケベなだけで金がない/礼賛
お笑いコンビの「ラランド」のサーヤが作詞作曲、歌唱をこなしていることでも話題のバンド、礼賛。
以前にも良かった曲で選んでいたのもあったので、礼賛は注目していたが相変わらずかっこいい。
しかし、ただ「かっこいい」で終わらず、適度にユニークさも歌詞に加えて、尖りすぎず、聴きやすい塩梅にしてくれている。
タイトルの「スケベなだけで金がない」がインパクト大だし、皮肉めいてて既にオリジナリティに溢れているのに、それが曲中に連呼されるものだからどうしたって印象に残る。
そもそもモチーフが「金を持たない割に何故か派手な生活を送るカルチャー界隈に存在感を放つ男性像」(ナタリーの記事より)ってなんだよ(笑)
それを曲のテーマにしてしまうのもアレだし、着眼点とそれを言語化する能力もすごいよな。
https://natalie.mu/music/news/531722
サウンドもヒップホップ特有のループするフレーズの流れに、しっかりとしたギターソロが入ってくるのもまた良い。そこはもうひとりの奇才、川谷絵音の相変わらずの手腕といったところだろうか。
いやぁ。良いと思ってはいたけど、礼賛がさらに好きになりそう!
最後に
久しぶりに10曲以上選ぶ月になった7月。ベタに夏の曲が琴線に触れまくったような気がする。ズーカラデルにしかり、Adoにしかり。
そして、感想は書かなかったけど、I Don’t Like Mondays.も個人的にはかなり良かった1曲だった。夏の寂しい曲大好きなのは変わらないみたい。
個人的には豊作だった7月。8月も夏の曲含め、楽しみである。
それではまた次回の記事で!