音楽

2021年6月良かった曲まとめpart.2

はじめに

前回に引き続き、6月の良かった曲を紹介していく。
今回は後半戦!残り5曲をご紹介!

⑥NOSTALGIC/HYDE

L’Arc~en~Cielのみならずソロの方でも新曲を発表しているHYDE。

ソロでのここ最近の激しい曲調とは一線を画すストリングスが効いた壮大なバラードになっている。

ソロデビューして最初の頃はこういったしっとりした曲が中心だったので、まさに「原点回帰」といったところか。

昔というのは振り返ると、懐かしくなるがそれとともに、もう戻れない時間である事を思い知る。この時に感じる切なさや儚さを具現化したような歌だと感じる。

この曲を聴くと、胸が締め付けられるとか唇を噛み締めるとかそういった類の感情に襲われる。メロディやアレンジがそもそも泣かせにかかるような切ない。ずるいもん。

あとは歌詞の中の列車のくだりが好き。列車はおそらく、「人生」の比喩。

「思い出」という駅があったとして、そこに停車する事はあっても、ずっと停まっているわけにはいかず進まないといけない。

それを踏まえて聴くと、

「列車は駆ける 想いを振り切るように」

という一節に深みが出てまた良い。

列車が駅から遠ざかっていく様子は、

人生を積み重ねると思い出がだんだんと遠い存在になってしまう(記憶としても時系列としても)様子

に似ている。

自分も少し昔を振り返る事があるので、共感にも似た気持ちで聴いていた。

激しい曲もいいが、たまには静かに没入して聴ける曲もいいものだ。

⑦Good Bye/YONA YONA WEEKENDERS

4月に発表した「いい夢」を聴いて、そこからとても存在が気になっていたYONA YONA WEEKENDERS

今回の「Good Bye」もこのバンドの良さである曲調の穏やかさに加えて、少しの切なさが加わった素晴らしい曲だった。

もう既にタイトルから別れの歌だと分かるので、もっと大袈裟に泣かせにかかるメロディやアレンジにしても良さそうなものなのに、飾り過ぎない絶妙なバランスで、程よい切なさを引き出している。

そして、別れを題材にした曲が持つ切なさは、いつ聴いても変わらない事を改めて思い知らされる。

老若男女関わらず、大小あれど別れは経験するもので、自分を重ね合わせやすいからだろうか。

この曲もそうで、何に対しての別れにも当てはめられる、受け皿の広い楽曲だと感じた。

恋愛としての別れにも聞こえるし、友人などの大切な人との距離的な別れにも聞こえる。

何なら、もうこの世にはいない大切な人を想う歌にも聞こえる。

特定の言葉を避け、あえて抽象的な表現をしているように聞こえるが、これも様々な「別れ」にうまくハマるような仕掛けの一部なのかもしれない。

そしてMVもいい。ただの電車の車窓といえばそれまでなんだが、見た覚えがない景色なはずなのに懐かしさを感じるのは何故だろうか。流れてる曲の切なさの力か。

今のトレンドである「チル」の流れに乗れるだろう良いバンドだと思う。この曲を聴いて余計にその思いは強くなった。

⑧カメレオンシンドローム/高橋李依

『からかい上手の高木さん』の高木さん役などでお馴染みで、声優としても活躍されている高橋李依さん

高橋李依名義のソロとしては初めてのEP『透明な付箋』に収録されている曲。

ピアノから始まるイントロがもう既に印象的。きっとサビにも関わるコード進行なのだろうと予想させる。サビに使えそうなくらい強烈に耳に残るのだ。

そしてタイトルが「カメレオンシンドローム」なのもいい。

擬態して周囲と馴染むというカメレオンの性質がある。それを自分を殺し、空気を読んで周囲と馴染もうとする人間の様子に例えている。

しかし、それは病気のように苦しい事でもあり、シンドローム(=症候群)なのだという事。

造語ではあるが、「あるある」というものを一発で言語化してくれた感覚が強い。よく思い付いたなと思う。

そしてある種、擬態が仕事のひとつといえる声優がこの曲を歌う事が、とても意味を持つ。かなりの説得力を曲に加えてくれる。

歌詞の内容も、声優の自分と本当の自分との間の葛藤のようにも読めて、改めて、声優でないと歌えない曲だと感じる。自分じゃない誰かに擬態するのはさぞかし大変なのだろう。

「いち人間としては擬態せずに自分らしく生きるべき」

というメッセージが、切ないピアノの音色に乗って、痛切に伝わる。

そして、『からかい上手~』の劇中歌や高木さんのキャラクターソングの歌声とまた違い、高橋さんのありのままの歌声がこの曲に合っている。

この曲が1番良かったが、EP自体も様々な曲が聴けて、収録曲数以上の満足感が得られた。

高橋さんの今後の作品が今から楽しみで仕方ない。もっと曲を聴いてみたい。

⑨哀してる/yonawo

こちらははじめましてだったバンドyonawo
福岡出身の4人組。

音源を初見で聴くと、男性なのか女性なのか一瞬判別出来ない歌声だった。(ハスキーな女性の声にも聞こえた)

冒頭の歌詞、二人称の「あんた」に印象が引っ張られたのかもしれない。

相手の事をあんたと呼ぶ男性ってあまりいない気がするから。

まぁ結果的には男性が歌う女性目線の曲なのだが、本当に女性が歌っているような妙なリアルさを感じる。普通に男性が歌う女性目線の曲とは少し違う。

そして、こちらは比較的派手めなアレンジで、もの悲しさや儚さを分かりやすく煽っている。

歌詞にも言葉選びのこだわりが見られ、語感の良さや他の曲ではあまり耳にしない言葉があるなど、彼らのオリジナリティが言葉からも滲み出ている。

サラッと思いつく言葉ではないと思う。何回も音と合う言葉を考えているのだろう。

また注目したいバンドを見つけた!これだからサブスクはありがたい。不意の出会いに感謝。

⑩死神/米津玄師

表題曲の「Pale Blue」と最後まで悩んだ。カップリングだが、こちらの方が好みだったので選ばせてもらった。

「Pale Blue」はドラマの主題歌かつ表題曲という事もあり、聴きやすさポップさを求められていたと思う。

そういったある種の制約もある中で、素晴らしい曲だったのだが、その反動で制約なしの米津玄師の恐ろしさをこの「死神」で知る事になった。

古典落語を基にして曲を作るという発想自体が既に攻めているし、曲自体はマニアックですらある。

しかし、マニアックだけで終わらせず、聞き応えのあるエッセンスを多分に加えている。

実際の落語「死神」にも登場するセリフ
「アジャラカモクレン テケレッツのパー」という言葉が歌詞にあるが、文字を聞き取れなくても必ず耳に残るし、やたらと聞こえてくるベースのフレーズも自然と耳が追ってしまう。

マニアックな曲中に聞き所を作る。米津さんのこの方向性が好きだという人も多いのではないだろうか。私もその一人。

ここ最近でいうと「Flamingo」にも毛色が近いだろうか。

この曲も分かりやすくはないが、キャッチーなサビ独特な節回しなど、聞き所を沢山設けている。

そういった点で似ていると感じる。

タイアップと真摯に向き合って作られた楽曲が素晴らしいのは言うまでもないが、それとは対になるような「クセ強」な楽曲を今もなお発表してくれるのがいい。

この両極端がたまらないから米津玄師聴いてるんだよなと改めて思った。

最後に


6月の個人的に良かった曲を紹介した。今回はこの10曲!

①極夜/cinema staff
②いない/tricot
③ミライ/L’Arc~en~Ciel
④足跡/the peggies
⑤カナリア鳴いた頃に/WANDS
⑥NOSTALGIC/HYDE
⑦Good Bye/YONA YONA WEEKENDERS
⑧カメレオンシンドローム/高橋李依
⑨哀してる/yonawo
⑩死神/米津玄師

こうやってみると、今回はバラードが半分くらいを占めた。落ち着きたい気分だったのだろうか(笑)やたらと暗かったり静かだったりする曲が多い月になった。

7月分も書き始めているが、既に10曲に入りそうな曲が出始めている。どんな曲に出会えるか楽しみだ。

それではまた次回の記事で!