最初に
ということで年間ランキングを決める季節になった。
以前の記事にもあったが、今年から11月までを集計の対象としたので去年よりも少ない曲数から選ぶことになった。
毎年のことながら順位の選定から既に難しい!悩みに悩んだランキングとなっている。
早速50位からカウントダウンしていこうと思う。
50位:硝子窓/King Gnu
幸先を飾る1曲目はKing Gnuの「硝子窓」。
もともとさまざまなジャンルを高い次元で表現する彼らだが、「硝子窓」はロックバンドをイメージする「荒々しさ」や「激しさ」とは真逆で、まざまざとKing Gnuの音楽の幅広さを見せつけた作品となった。
イントロから歌いだしまでの30秒足らずで、あまりの美しさに衝撃を受ける。
音楽は目に見えるものではないが、さながら美しい絵画や彫刻品などの美術品を見ている感覚になった。耳で聴いているだけなのに不思議なもので。「美しい」という言葉が何度も頭の中で駆け巡っていた。
また、相変わらず日本語の趣を感じさせる言葉選びも秀逸だったな。硝子窓というタイトルにもいくつもの意味を持たせているし。
バラードのKing Gnuは個人的には難しすぎてあまりハマらないことが多かったのだが、「硝子窓」はファーストインプレッションで「これ好き!」と思ったもんな。
バラードのKing Gnuもいいなと思えた作品だった。
49位:Hyper/Kroi
Kroiは初めて良かった曲に選んだが、そのまま年間ランキングにも入ってきた。
ヘヴィな入りから軽快なビート、ラップと目まぐるしく変わる曲展開に頭が追いつかない。だが、それが楽しくて次の展開をワクワクしながら追いかけていた。
次から次へと予想を覆す展開が繰り広げられ、今までの凝り固まった音楽の常識を見事にぶっ壊してくれて爽快だったなぁ。
「ここでこんな音をを入れるんだ!」
「このリフはそのまま押していくんだ!」
と、聴いていて楽しさしかなかった。
もともとKroiの名前は知ってはいたけど、センスの塊のイメージがあったので、多分理解しきれないだろうなと諦めて積極的に聴いてこなかった。この曲もニューリリースの流れで聴いたしね。
しかし、この曲がキッカケで追ってみたくなったよねぇ、Kroi。
48位:テレパス/ヨルシカ
ヨルシカは2023年のリリースは比較的おとなしめだっ印象だが、それでもこうやって年間ランキングにも顔を出してくるのはさすが。
曲中にほとんどずっと鳴っているピアノのリフがとても印象に残る。この曲を象徴するフレーズになっていて、とてもシンプルだけど美しい旋律でとても好きだった。儚さを表現するのにもうってつけだったように思う。
音の数も少ないから歌詞もよく聴こえて言葉を噛みしめるのにも良かったな。
ここまでスカスカにするのもなかなか勇気がいることだろうと思うが、結果的にはサビで音が増えるための良いフリになっていた。
シンプルな構成だが、要所要所で印象的なフレーズを音でも言葉でも残していくのは「やっぱりヨルシカだな!」といったところ。
本当にさまざまな曲調のものを発表するよな。ハマるハマらないはあれど、やはりさまざまな曲調は飽きが来なくて良い。
47位:熱風は流転する/フィロソフィーのダンス
フィロソフィーのダンスも相変わらずかっこいい曲をお届けしてくれるよな。イントロでブルーノマーズっぽさを感じるのもなんかいいよね(笑)
もともとソウルやらファンクやら、他のアイドルではあまり聴かないジャンルを中心にやっているグループなので、こういった楽曲もお手の物なのだろう。
かっこいい曲調にピッタリなえげつない歌唱力と、セクシーさとコミカルさを同時に味わえるダンスと、見どころ聞きどころは挙げだしたらキリがないほど。
これはライブで観てみたいかも。
46位:さよuなら/Cody・Lee(李)
メンバーの尾崎リノが脱退後、初の楽曲。
ドラマタイアップの書き下ろしではあるものの、尾崎さんのことを歌った曲をでもあるのはボーカルの高橋さんも明言していた。
メンバーとの別れを歌った曲ではあるものの、どんな別れの場面にも通ずる曲で、特に明るく送り出したい相手にはピッタリだと感じた。
歌いだしはしんみりしたテンションで始まるが、徐々にダンサブルなアレンジになっていき、最後は賑やかに締めるという流れに救いがあって良かった。
単に別れは寂しいだけではなく、希望も持ち合わせているのを改めて教えてくれる。
メンバーが抜けるのはバンドにとって足踏みになるイメージがある。
しかし、Cody・Lee(李)は即座に曲にした。別れの寂しさを率直に表明しつつも、前を向く決意を見せてくれた。
それはその場の足踏みではなく、確かに前に踏み出しているのを感じさせる。
メンバーは変われど、これからも邁進していくんだろうと確信した1曲となった。
45位:如何様師のバラード/a flood of circle
2月に発売されたアルバムのリード曲で、MVはお笑いコンビ金属バットが出演したことでも話題となった。
バラードとは名ばかりの小粋なテンポのロックンロールで、テーマも「イカサマ」や「金」と少しダーティな匂いがして面白い。
フラッドらしいギターロックではあるのだが、やはり歌詞の遊び心がこの曲のオリジナリティを持たせている。
「お金ください」と直接歌ってしまうところも最高だし、胡散臭さが一発でわかるフレーズの数々など、他の曲ではまず聴かない言い回しばかり飲むなのが衝撃だったし、面白くもあった。
ブレずにロックンロールを奏でながらも言い回しやテーマに独自性を持たせる。それがフラッドの個性になっているのを再認識した。
44位:ピアスを飲む/三月のパンタシア
この曲は、ハラハラするような曲調と重くてメンヘラテイスト漂う世界観が気に入ってわりかし何度も聴いていた気がする。
歌詞をよく読んでみると、まぁ病んでいるというかどこか狂いを感じるというか。みあさんの可愛らしい歌声で、この温度の言葉を聞くとなおさら狂気を感じてゾクゾクするんだよな。いいゾクゾク。
しかし、狂気さの中にも、かなしさや虚しさやを内包する辺りも妙にリアルも感じられた。感情の機微が絶妙。ただの病みソングでは括れないものがあった。
それを聴きやすい時間にグッとまとめるのがすごいよなぁ。さすがにこの重さの曲は5分聴けないかもしれないから。
重たさの中にある憂いや切なさがこの曲の良さをさらに引き立てていた気がした。
43位:スパークルダンサー/フレデリック
フレデリックは常々、イントロへのこだわりを口にしているが、この曲のイントロも見事に耳を惹くもので、そのこだわりは「こんな片田舎のリスナーにも届いているぞ!」と声を大にして言いたいくらい。
「サブスクが流行ったことでイントロは5秒が限界。。」という時代に反してイントロを作り続ける「フレデリック」の音楽をお聴きください。
1.オドループ
2.シンセンス
3.かなしいうれしい
4.ふしだらフラミンゴ
5.TOMOSHI BEAT
6.熱帯夜
7.ジャンキーイントロって最高やぞ 飛ばすな pic.twitter.com/3BsHRy5uiB
— 三原 健司(フレデリック) (@kenditter) May 20, 2022
イントロからすでにワクワクして「聴きたい!」と思わせてくれる。そんな曲がフレデリックには数多くある。
そして、イントロが出オチになることはなく、そのまま離脱せず、より高まるサビへと誘ってくれる!「乗ってけ乗ってけ」のリフレインはこんだけ繰り返されたらそりゃ覚えますって(笑)
電子音マシマシで凝ったイントロ、繰り返しで印象に残るサビ…この時点でフレデリックらしい曲だと思わせる。自分達に何が求められてるのか理解していないとこのような曲は作れないんだろうな。
2023年もフレデリックはしっかりフレデリックしていた。それが確認できる1曲だと思う。
42位:Particle Dreams/フジファブリック
今年は2曲を良かった曲に選んだフジファブリック。
タイトルに「粒子」が入っているということで、曲のモチーフになっているのはズバリ「炭酸」。
炭酸をテーマにする曲は数あれど、さまざまに解釈があるから面白い。
一般的に炭酸と聞くと、爽やかさやキリッとしたイメージを抱きがちだが、この曲における炭酸のイメージはもう少しゆるくて、ガス抜きの手助けをするような印象に聞こえた。山内さんの歌声や曲調にも影響されているのかもしれないが、詞の内容もそう思わせる要因の1つなのかもしれない。
「何度でも始まりさ」と炭酸から生まれる気泡を何かしらの始まる様子に例えたり、
「果てしない物思い」と思い悩みを炭酸の気泡に見立てて、「飲み干して空になれ」と歌ったり…。
炭酸にさまざまな意味を含ませて、生きていくうえでの悩みにそっと寄り添ってくれるような。炭酸に対するアプローチが斬新に聞こえた。そこが好きなポイントの1つになった。
季節で表すとやはり夏かな。炭酸の効いたアルコール(個人的にはレモンサワーかな)を嗜みながら聴きたい1曲だ。
41位:Sleep Talk Metropolis/Mili
Miliは初めて良かった曲に選んだ。2012年から活動していたらしいが、この曲で初めて知った。はじめまして。
ダンスミュージックっぽいんだけど、メロディは切なげだし、歌詞は風刺や皮肉が効いている。そのアンバランスさがかえって琴線に触れたのよねぇ。
特に、歌詞は今の世相を切り取ったようで面食らった。
「本当はマイホームも欲しかった」
「子供だっていつかはほしいと思ってた」
「一人ぼっちは嫌だよ」
英語だからまだマイルドだけど、訳詞これらの文を読んだら、リアルが過ぎるのでちょっとキツかったもんな。
そして、「夢物語を生きている」とサビで歌われる。
幸せな生活を追い求めることがいつしか夢物語となってしまった今の世の中への強烈な皮肉に聞こえたのは自分だけではないはず。
ここまではっきりと、そして細かく社会を切り取った歌詞をここ最近見ることもなかったので、その衝撃がデカかったな。
早くこの曲に共感しない人が増える社会になってほしいものだ。今じゃ共感する人が大多数だろうから。
最後に
50位から41位を紹介した。いきなりKing Gnuから始まる派手な(?)ランキングになっている。
バンド界隈が好きなので、その類の曲が多くを占めている中で、フィロソフィーのダンスは不定期ながらツボを突いて来る曲を発表するので目が離せないままで、選んじゃうよねぇ。
ということで、また次は40位からカウントダウンしようっと。
ではまた!