最初に
前回に続いて年間ランキングの記事でございます。
今回は40位から31位までを紹介。個性的な楽曲やアーティストがここには並んだ印象が強い。
それではスタート!
ヌマッチノオト的2023年間ランキングTOP50(40位→31位)
40位:マーメイド/水曜日のカンパネラ
水曜日のカンパネラが夏にリリースした季節感バッチリの曲。
今までもあった昔話の主人公や偉人を現代的に新解釈するという斬新な方式が結構気に入ってよく聴いていた。「エジソン」とか「織姫」とかね。
そのシリーズを踏襲した今回のテーマは「人魚姫」。
「王子様(インドア派)と一緒にフェスに行く人魚姫」という、これまた今っぽい解釈が好きですねぇ。
軽快なビートが気持ちよくて、夏のうだるような暑さを少し涼しくしてくれた気がする。
そして、この曲を聴いてビックリしたのが、ボーカル詩羽さんの低音である。メディアなどで切り抜かれるサビのフレーズので高い声のイメージがあったが、「マーメイド」のメロでは低いキーも出していて衝撃と新鮮さで印象に残っている。
曲が良いのはもちろんのこと、詩羽さんの歌声だからこその部分も存分に楽しめる1曲だった。
39位:スケベなだけで金がない/礼賛
礼賛のかっこよさは今年も健在だった。かねてから好きで聴いていたが、今年は年間ランキングにも名を連ねてきたか。
ファンクっぽいサウンドはクールと表現するのに相応しい。しかし、そこに乗せる世界観が「金を持たない割に何故か派手な生活を送るカルチャー界隈に存在感を放つ男性像」ときたもんだ。
かっこいい曲調に、少しダサさを加味することでよりかっこよくなっている。
かっこいい言葉でクールを貫くのもアリだが、ちょっとだらしない美学、肩肘張らない自然なかっこよさが出て、それが個人的な嗜好と合致。
あとは、サビのリフレインするフレーズ「スケベなだけで金がない」の語感や音の乗り具合の気持ちよさも好きなポイント。
1度聴いたら忘れられないし、口ずさみたくなるもんな、「スッケベなだけで金がない♪」と。
というか、本当にテーマ選定がぶっ飛びすぎててオリジナリティしか感じない(笑)
かっこいいうえに面白くもあるという不思議な魅力を放つ曲である。
38位:霹靂feat.西野恵未/ぷにぷに電機
ぷにぷに電機は去年も「雨模様」という曲を年間ランキングに選んだが、今年もランクインした。今年は「霹靂」と、雨だの雷だの、曲のタイトルが悪天候なのを選んでいるのは本当に偶然だろうか(笑)
湿った質感のサウンドアレンジはまさに霹靂が起こりそうな空模様を感じさせる。歌いだしも「空が泣いた」だし、まさにタイトル通りの曲調といえる。
アンニュイさも感じられて、やはり曲を聴いて1番に思う印象は「洒落ている」。
その中にも憂いや切なさも感じられるし、最後は明るく救いがある展開も楽しい。「オシャレ」だけでは終わらない楽しみが数多くあるのがいいよな。
ぷにぷに電機はYouTubeのチャンネル登録をするほど新曲を楽しみにしているので来年も期待している。
37位:ネクター/MOROHA
MOROHAは名前はもちろん知っていたけど、通ってこなかったアーティストの1つだった。この「ネクター」でしっかり聴いたのは初めてだったのだが、しっかり刺さったなぁ。
優しいギターの音色と家族との出来事をドキュメンタリーを思わせる歌詞が独自の世界を作っていた。
まずギターの暖かさで既に泣ける。そこに感動的な歌詞を乗せようと考えるのはとても自然な考えだと思う。この音色に合う歌詞を書くのが大変だったらしいけど。
そしてギターに負けないくらい、強くてグッとくる歌詞はこの曲を聴いた誰もが耳に残るのではないだろうか。
家族の曲といえばハッピーをイメージしがちだが、アル中、浮気などを連想する表現もあり、幸せ一辺倒ではない家族模様がかえってリアルを感じさせる。
良いことも悪いことも含めて、家族なんだというメッセージが刺さりに刺さった。
あとは、要所要所に舌を巻くような表現の歌詞もあり、どうやったら思いつくのかと思いながら聴いていた。
ハッピーではないけど、どこかあたたかい。そんな新感覚の家族の歌を今一度聴いてみてはいかがだろうか。
36位:油/女王蜂
2023年も前衛的ながら、メインストリームにいる活躍を見せていた女王蜂。
年始早々、ぶっ飛んだ曲がきたなと度肝を抜かれたのがこの「油」というナンバー。
「歌」ではあるのだが、それよりもその歌いまわしの多彩さから演劇を観ているようなテイストに近いと感じた。台詞っぽい歌い方をするところもあるし。
それから、当時の良かった曲をの記事でも書いたが、「油を売る」、「油をさす」など、「油」が持つ慣用句や用途を織り交ぜて、日本語ならではの歌詞にしているのが面白いなと感じた。
聴き応えをさまざまな要素から感じられて、工夫がある曲だった。この曲を皮切りにして、アルバム「十二次元」への期待が高まったが、アルバムもその期待を上回る素晴らしさだったな。
独創的とは女王蜂のためにある言葉なのかもしれない。
35位:Ratpark(feat.菅原圭)/PEOPLE1
PEOPLE1と菅原圭さんのコラボが実現したこの楽曲。もともと菅原さんの歌声のファンだったので、この掛け合わせは嬉しかったな。
疾走感のある曲調と小気味よいテンポで次々と歌割りが変わる構成が堪らなかったし、PEOPLE1の分かりやすいロックチューンの方が個人的な好みなのもあり、何度も聴いていた。
あとはしゃがれた歌声が相変わらずたまらん!PEOPLE1のDeuさんの歌声も好きなんだよなぁ。
曲によってさまざまな顔を見せるPEOPLE1は音楽性が掴めないのがいいよな。いろんな曲が聴けて単純に飽きない。今後も定期的に選ぶのは変わらなそうである。
34位:1P/ビレッジマンズストア
ギターロックで、ポップなサビなど相変わらずのビレッジマンズストア節を聴かせつつ、デジタルなサウンドも絡めて新境地を見せてくれた「1P」。
テレビゲームのモチーフは先のデジタルなサウンドもそうだが、歌詞でも感じられる。「2コンマイク」というワードから察するにファミコンかな?
タイトルもゲームで自分が操作するプレイヤーを指す「1P」からきているし、その「1P」に1人を連想させるなど仕掛けを施していて面白さも感じた。
で振り返りながら知ったけど、サッカー選手の応援歌(チャント)になっているのね!日本代表にもなっている伊藤涼太郎選手の。
伊藤選手効果で、もっとバレねぇかなぁ。この曲も、ビレッジマンズストアも。もっとバレていいのではと毎年思っている。
33位:バードヘッドブルース/a flood of circle
41位に入った「如何様師のバラード」も収録されているアルバム『花降る空に不滅の歌を』の先行配信曲だったのが「バードヘッドブルース」。
熱くて滾るようなロックンロールが最高!こんなテンションの曲を聴きたいがためにフラッドを聴いているところあるもんな。むさ苦しいくらいがちょうどいい。
考える力が足りないことを「バードヘッド」という言葉に置き換えて、衝動的に生きる様子が古き良きロックを感じさせる。
時代錯誤かもしれないが、考えるよりも先に動くものの重要さも変わらずにあるはずだろう。
アルバムの中でも1番好きな曲だったな。「如何様師のバラード」も良かったけど、こっちのMVも観てみたかったところもある。
32位:スマイルあげない/ano
紅白出場も果たし、飛躍の年となったano。
「スマイルあげない」はマクドナルドのタイアップだったが、その会社の否定とも取られかねないタイトルにまず面食らったよね。中身を聴くと、そんな曲ではないのがすぐに分かったのだが。
ケンモチヒデフミさんの中毒性の高いトラックにanoちゃんが歌うからこそ響く言葉が乗り、唯一無二の曲になっていると感じた。
無理にスマイルせずとも、自分のキャラクターを意識して生きていけばいいと解釈できる歌詞は今の時勢にも似通う部分があっていいよねぇ。多様性ってこういうことも含まれるはず。
歌詞に関しては、はじめは何を言っているのか若干掴めなかったが、聴けば聴くほど「深いぞ、こりゃ」となるのもまた面白かったな。
さまざまな意味に取れるのも、それもまた考え方の多様性かなと考えるのはいささか考えすぎだろうか。
anoちゃん関係の曲は今年は3曲くらい良かった曲に選んだ気がする。痛みや辛さに寄り添うような彼女の曲がとても良かったと感じられた。来年以降も快進撃は続くのかもな。
31位:うそつき/緑黄色社会
個人的には2023年のアーティストオブザイヤーだと思っている緑黄色社会。まずアルバムの先行配信として5月に発表した「うそつき」がランクイン。
救いが見当たらないほどのかなしさや切なさを感じるバラードで、心が痛くなるほどだった。「痛切」ってこういうことよね。
しかし、嫌な気分で終わらないのは美しさを感じるメロディと1番と2番で変化のあるアレンジの影響か。
切ないのに、重たくならずに気持ちよくサッパリ聴ける絶妙なバランスだった。
この曲を聴いたらアルバムも期待しちゃうよな。結果的にすごいアルバムだったけども。
ちなみに緑黄色社会の曲はまだランクインするので、どこに入ってくるのか、どの曲が入るのかお楽しみに。
最後に
40位から31位のブロックも濃かったなぁ。
水曜日のカンパネラ、anoとケンモチヒデフミ作品が複数ランクインしたのと、ギターが主張するロックナンバーがちょこちょこあるのが印象的だな。ギターがうるせぇ曲は相変わらず最高だ!
明日は30位からの発表です!お楽しみに。ではまた。