最初に
さて、最後の発表となるトップ10になった。今まで紹介した曲もトップ10に食い込んでもおかしくなかったので悩みに悩んだ10曲になった。
それでは早速発表といこう!
10位:左右盲/ヨルシカ
この曲はとりあげたテーマと歌詞の内容が素晴らしくてお気に入りになった。
実際の左右が分からなくなる状態のことを「左右盲」と呼ぶのだが、なかなかそれをテーマやタイトルとして目にしないので、もう既にオリジナリティを感じていた。
そして、物事がまったくわからないことを「右も左もわからない」と言うことがあるが、それと左右盲を掛けているのも、歌詞として面白かった。
実際に右と左にあるものの描写から始まり、それが本当に右なのか左なのかだんだん分からなくなっていき、それが相手の気持ちが分からなくなることと重なっていく。
実際に完成した歌詞を見れば、至極当然で納得するが、0の状態からこの表現を思いつくのがすごいなと。
歌詞で唸らされたのはこの曲が2022年で1番かもしれない。
9位:Running in the Dark/MONKEY MAJIK
シンプルなアコースティックサウンドが心地よかったのは10月に発表されたMONKEY MAJIKの楽曲。
ここまでシンプルなアレンジで聴かせられるのは、よっぽどメロディがいいからだと思う。哀愁漂うメロディが琴線に触れまくる。感性が普段よりもはたらく秋には特にもってこいの雰囲気ある曲だった。
英語詞なので、初見では意味は分からずともメロディだけで、ほろりと泣けるような切なさを感じられる不思議。
そこから歌詞を読むと余計に増幅する切なさが2度美味しい仕様になっているのもいいな。
MONKEY MAJIKに明るくないので、彼らの楽曲に触れたのがかなり久しぶりだったが、あまりの美メロに舌を巻いた。改めてこれからMONKEY MAJIKの作品にもっと触れたくなった。
8位:愛してるって言ってみな/森山直太朗
「愛してる」という散々擦られて手垢がついたようなテーマでも森山直太朗さんの手にかかれば、独自のアプローチで表現される。
かいつまんで曲の中身を要約するなら、
「愛してるならちゃんと言葉で伝えないとダメだよ」
それまでの比喩表現が森山直太朗さんっぽい。聴く人によってはまどろっこしさを感じるかもしれないが、そもそもそれを感じる人は森山さんの曲は聴かないだろう(笑)
愛してると言えなくてギクシャクして悩み眠れない様子をそのまま「眠れない」というのではなく、テレビの砂嵐やカラーバーを用いて、遠回しに夜遅くまで起きていたことを表現するのも面白いし、愛してると言わなかったことを雨が降っているのに傘を差し出さなかったことに喩えている表現も素敵だし…
と枚挙にいとまがないほど、巧みな表現のオンパレード。
ストレートなテーマゆえに、そのまま表現するのは芸が無いと思うので、ここまで比喩や婉曲的な表現を使ってくれる方が、聴いていて楽しい。意味を理解するために何度も聴きたくなるしね。
あとはMVのコミカルだけど、温かい感じも最高!2022MVオブ・ザ・イヤーがあったらコレを推すな、個人的には。踊る森山直太朗面白すぎでしょ(笑)
2月発表だったのにも関わらず、いまだに頭に残っているのは自分の中で相当なインパクトがあったということなのだろう。わりかし早めに10位以内には入れようと思った曲だった。
7位:Lost/yama
2022年も印象的な楽曲を数多く発表してくれたyamaさん。その中でも「Lost」はこの上ない切なさを堪能できる素晴らしい曲だった。
吐息が多めのyamaさんの歌声と曲調がマッチしていて、どっぷり切ない世界観に浸れること請け合いである。
サウンドもあくまで歌声ありきといった感じで、ピアノとアコギを中心とした旋律は至ってシンプル。そのおかげで歌声が滞りなく染み渡る感じもお気に入りだった。
救いのないほど哀しい歌詞は、切なさを増幅させて、さらに曲の世界観の深度を高めてくれる。
切なくて哀しい、でも美しい。切ない曲が好きな私にとっては嗜好に刺さりまくった素晴らしい曲だった。
6位:雨模様/ぷにぷに電機
ぷにぷに電機さんは今まで知らず、この曲も新曲のプレイリストをランダムで聴いた時に不意に出会った。
華やかなのにどこか陰を感じるイントロからもう魅力に惹き込まれていた。時間にしておよそ5秒程度。
そこからの歌のメロディもとことん切なくて、イントロから世界観の流れをしっかり汲んでいた。
曲の時間も2分半程度なのだが、世界観がしっかりしているので体感では5分くらいのドラマティックな曲を聴いたくらいの満足感があった。
惜しむらくはMVが無いこと。やはりYouTubeにある公式MVを貼った方が気軽に観られるし、聴いてもらえるから。
「この曲が良かった」って言っても、検索窓にタイトルやアーティスト名を入れてまでディグる人はなかなかいない。やっぱり面倒だもん。
なので、せめてもの抵抗でSpotifyの曲のURLを貼った。
あまり有名な曲ではないため、ぜひ聴いてもらいたいと思う気持ちが1番強い曲かもしれない。
5位:ウタカタララバイ/Ado
歌いやすさは昨今のバズりには関係ないなと思わされた「ウタカタララバイ」。
他人に歌わせることを度外視した歌唱は衝撃的だった。
そして感じた、「ラップもイケるのかよ、Ado」
早口でまくしたてるようなラップ、がなる歌声、艶やかな歌声…。さまざまな声色のオンパレードで、さながら1人で複数の役をこなすミュージカルのようだった。
ウタのアルバムの中でも、楽曲ごとに異なる歌声を披露していたAdoさんだが、それを1曲の中でもこなしてしまうのだから圧巻である。
展開が読めない曲調も楽しくて、つい何度も聴いてしまっていた。
ますますAdoさんの歌唱の虜になった2022年だったが、この曲で見せた高速ラップもその一因なのかもしれない。独創的で唯一無二な楽曲にとても楽しませてもらった。
4位:ふたつの星/ハンバートハンバート
ハンバートハンバートが9月にリリースしたアルバム『丈夫な私たち』。そのアルバムの先行シングルだったのがこの「ふたつの星」である。
「夜」や「星」をモチーフにしたストーリー性の高い歌詞が特徴で、ポツリポツリと歌うことで物語が紡がれていく。
ハンバートハンバートがもともと持っているゆるさや柔らかさは相変わらずで、そこにドラマティックさが加わり、実にあたたかくて感動的な楽曲だった。
夫婦ならではの息のあったハーモニーもその感動の手助けをしていて、この曲のハイライトになっている。
言い過ぎかもしれないが、あまりに心地よいハーモニーゆえにひとつの音に思えるほどだった。曲の内容のように、ふたつのものがひとつになっていく様子を感じられる。
MVも歌詞の内容を具現化した内容で、さながら絵本を読んでいるよう。映像としても好きな作品である。
2022年に限らずこれからも聴き続けたいと思える1曲となった。
3位:プラネテス/キタニタツヤ
2022年は、アサヒスーパードライとTHE FIRST TAKEのコラボに抜擢されたり、全国放送のドラマ主題歌を担当したりと、キタニさんがより有名になった1年だった。
その分、耳にする機会も増えたし、その中でも個人的にお気に入りの曲も増えていった。事実、2022年の良かった曲でキタニさん関連の曲は3曲選んでいた。
特にこの「プラネテス」は、一気に増した知名度と見合うほどのスケールの大きさを感じたのを覚えている。
今までも好きな曲はあったが、ここまで大きなスケールを感じたのは初めてだった。
「迷いながらも、ともに生きたい人を思う歌」
と、誰しもが共感し得る普遍的なテーマを見事に表現した名曲だったと思う。
綺麗事だけではなく人間の穢れた部分も織り交ぜながら紡ぐ言葉だからこそ、より美しいと感じられる。
初めて聴いてから何度も聴いたし、2022年を振り返ろうと、いの一番に自然と思い浮かんだ曲はこれだったな。
2位:KICKBACK/米津玄師
話題のアニメのオープニング、モーニング娘。からのサンプリング、シュールなMVと、曲だけでなく付帯する情報もまた話題だった「KICKBACK」
すべてのパートが際立つサウンドはぐうの音も出ないくらいのかっこよさ!
しかし、ただただ疾走感の一辺倒になることなく、ストリングを入れたり、同じ歌詞でまったくメロディを変えたりと、変化も加えて飽きさせない工夫にも抜かりがなくてとても芸が細かい。
妙にリアルで、情けない。でも「わかる」と共感する歌詞が凶暴なサウンドに乗るのもギャップがあって面白かったな。
歌詞といえば、よく読むと言葉遊びになる部分もあって何回も聞き返したくなったし、言葉としても大いに楽しめる楽曲だったような気がする。
サウンド、歌詞、MVなど、複合的に楽しめたという点でかなり満足度は高い。
アニメ自体に触れていなくても、曲そのものが良いので楽しめるものだった。
1位:逆光/Ado
ワンピースの映画でハネにハネたウタだが、世間的には「新時代」や「私は最強」が特に浸透していた。
しかし、個人的に刺さったのは「逆光」だった。
確かにゴリゴリに激しいロックサウンドなので、一般ウケからは少し乖離しているものかもしれない。だが、この「尖り」にすっかり射抜かれてしまった。
どこまでも歪んだ歌声のサビは、爽快感とは真逆の声色のはずなのに気持ちよさを感じる。怒りをそのがなり声で発散しているように聞こえるからだろうか。
怒りを表現した歌声がとても気に入り、ストレスが溜まったらとにかく聴いていた。2022年のストレスと戦ってくれた曲と考えるとより尊い(笑)
Adoさんのシンガーとしての強みがよりワンランク上に感じられた2022年だったが、それが『ONE PIECE FILM RED』の劇中歌のおかげだったのは言うまでもない。
その中でもロック色が強かったこの曲を自分が気に入るのは必然だったのかもしれない。
「KICKBACK」と最後まで1位を悩んだが、結局はどちらが好きかというシンプルな理由でこちらに軍配があがったかたち。
最後に
TOP10の発表だった。
ここまでくると、順位づけに悩むのは言わずもがなで特に1位2位は最後まで悩んだ。たった2曲なのにここまで悩むかと自分でも思うが、そのくらい拮抗していた。
そして、何なら上半期の時点ではキタニさんが1位かなとも思っていたくらいなので、目まぐるしいほど好きな曲が入れ替わる2022年だった。
しかし、2022年はAdoさんの年だったと改めて思う。
1位に選んだからというわけではなく、曲が新たに発表されるたびに、素晴らしいものが連発されていたから。
特に皆そうだと思うが、『ONE PIECE FILM RED』の楽曲たちは全部良かったもんなぁ。
それぞれ作風の異なる曲を自分の中に落とし込んで、声で表現し、1人のアーティストのアルバムにまとめるのはなかなかできる芸当てはない。
本当に素晴らしい活躍で、Adoさんの新曲が出るたび楽しみだったな。
というわけで2022年のヌマッチノオト的年間ランキングはこれで終了!ここまでお付き合いいただいてありがとうございました。
2023年も沢山の名曲に出会えるのを今から楽しみにしてこの記事を締めたいと思う。
では2023年もよろしくお願いいたします!