はじめに
5月は話題のアーティストが軒並み新曲を提供してくれたおかげで、話題曲がどんどん出てきて聞き応えのある月になった気がする。先月に負けず劣らずの選び応え。
それでは今回も前半5曲からスタート!
①Cry Baby/Official髭男dism
他のブログ書いていらっしゃる方も挙げてると思うけど、いや、これは挙げざるを得ない。
ここ最近の髭男は「すげぇ!」とか「面白い!」とかいう感想は持てても、何回も繰り返して聴きたいかといえば、そこまでではなかった。明るすぎて自分の好みとは合わなかったのかもしれない。
しかし、今回の曲はヘビーな髭男。今までの楽曲とは一線を画すものになっている。激しくて重いのがいい!最高にカッコいい。繰り返して聴いてしまう。中毒性が高い。
コード進行がジェットコースターのようなのも面白い。大体心地よく聞こえるコード進行というのが決まっているのだが、「そんなの関係あるか」ってくらいに、定石をことごとく外しているのもいい。
マイナーで始まって、サビで明るくなって、サビが終わる頃にはマイナーに戻る。
こんな複雑なコード進行、なかなか聴けない。
「土砂降りの夜に 誓ったリベンジ」辺りのコードなんてめちゃくちゃ引っ掛かる。その違和感が違和感で終わらず何故だか心地いい。
あと個人的な好きなポイントは間奏の重々しい所!
ギターのヘビーなリフやノイズが今までの髭男のシングルでは聴けなかったもの。
そして、素人に歌わせる気のない歌唱の暴力を惜しむことなく発揮する藤原さんのボーカルもたまらない!(笑)
キーが高いのは今更取り上げる必要もないが、先のコード進行にもつながるが、メロディが複雑怪奇過ぎて、覚えにくいし、歌いにくい。
それを自分が作った曲とはいえ、ここまで歌いこなしてしまうのはやはり末恐ろしい。
名が売れてもなお、ここまで実験的な曲をぶっこんでくる精神もかっこいい。
更に、実験的なのにマニアックにならないバランスも兼ね備えている。こわい。
髭男の歴史に新しいページを書き加える事になりそうな1曲。
②Starlight/和楽器バンド
月9ドラマ『イチケイのカラス』の主題歌で、タイアップ発表の時は「和楽器バンド」であるという事は明かしておらず、最初は「WGB」という名義での発表だった。
今となれば、和楽器バンドの頭文字を取って「WGB」だと思うが、曲だけを何の気なしに聴くと、すぐには和楽器バンドだとは気付かないかもしれない。
それくらい今までの和楽器バンドとはテイストが違う曲になっている。
和楽器バンドは歌の節回しも演奏する楽器も独特なので、良く言えば唯一無二。ただその唯一無二に縛られている側面もあった。
私一個人としても、「和楽器バンド」という色が強すぎて、有名曲までは聴けても、それ以上を掘り下げられないでいた。
ただ、自分自身が和楽器バンドに持っていたイメージをぶっ壊すには十分な楽曲だった。よりJ-POPの本流に寄り添っていて聴きやすいと感じる。
イントロには和楽器の音がなく(グロッケンという楽器らしい)、その後もしばらく和楽器の音色は控えめだ。歌声も普段の鈴華さんとは違い、詩吟のような節回しはほぼほぼ封印している。
しかし、和楽器は曲の後半で更に華を添えるようにドラマティックに鳴っていて、和楽器が全くないというわけではない。
あくまで和楽器バンドの要素を少し薄めたというところか。
本人達がインタビューでも
「あくまで(ドラマの)作品ありきでこの楽曲」
「和楽器バンドってこうじゃなきゃダメという制限が緩和されたんじゃないかな」
と仰っている。
https://realsound.jp/2021/05/post-753818.html
「和楽器バンドこんなのもやれちゃうんだ」と素直に思った。もともと技術や魅せ方には定評があるだけに、作品に幅が出来て、月9タイアップという沢山の人が聴いてくれる素地が出来た今、もっと聴かれてほしい曲。
私みたいな和楽器バンドにいらぬ固定観念を抱いていた人には特に聴いてもらいたい。キレイに崩してくれると思う。
③in case…/BiSH
BiSHも精力的に曲を発表し続けているが、今作はデジタルな音色が印象的。音づかいが単純にかっこいいし、好み。今年になって何曲か出ているが、1番好きなのはこの曲だな、恐らく。
歌詞も前衛的で、いかにもBiSHらしい。「fight for right(正義のために戦え)」
という言葉が彼女達には似合う。
自分たちの正義を信じ、戦ってきて、異端と言われていた所から今やメインのシーンを走っている。だからこそ説得力があるのではないだろうか。
言葉に説得力が宿った歌は改めて強いなというのを思い知らされた。
そして公式からライブバージョンの映像が公開されたが、ダンスとバンドセット込みだと更に映える。
サビの掛け合いなんて、たまらなくかっこいい。これで、オーディエンスが声出して盛り上がれないのは生き地獄も同然か。
音源より更に進化しているので、2つを比べて聴くのも楽しいかも。
④Andy/Dizzy Sunfist
新しいEP『Andy』を発表したDizzy Sunfist。1曲目がこの曲なのだが、ひたすらまっすぐで、ポジティブさが際立っている。
やっぱりこういった曲調には前向きな歌詞がよく似合うし、映える。もはや様式美ですらある。
速いテンポ
英語詞
ポジティブ
の3要素は散々やり尽くされた畑ではあるのだが、Dizzyは女性2人でメロディとコーラスを歌うので、他との差別化が図りやすくて「らしさ」も出やすい。
この曲のサビのコーラスワークもすごく好み。ハモりも口ずさみたくなる。まぁこれはもともとのサビのメロディがとても覚えやすくて良いというのが前提なのだが。
あとMVのストーリーもベタっちゃベタなんだけど、分かりやすくてこれも個人的に好き!最後に主人公(?)の女性のマスク無くなってるのがポイントだと思う。「マスク」に様々な意味を持たせている。
気になる方はMVも合わせてチェックしてもらいたい。
ライブでも映えそうだなぁ。みんなで「Hey! Hey!」とコーラス出来る日が来るといいなぁと思わず思ってしまった。
⑤Star Forest/シド
シドは昔とても好きで聴いていたのだが、少し離れてしまっていた。しかし、久々にハマった。ハマっていた頃の曲調に似ていた気がした。
作曲者はShinji。今までのシドの楽曲だと
・2℃目の彼女
・モノクロのキス
・妄想日記
・夏恋
などシドのキラーチューンを数々生み出している。
サビのメロディがいいと思うのはまず前提で、Aメロでしっかり心掴めるメロディがあるのがいい。
歌詞も過去のシドを彷彿とさせるワードが入っているのが嬉しい。
「星の都」はシドの2枚目のアルバムのタイトルでもあるし、「池町川」は作詞のマオの故郷福岡にある川で、過去のシドの楽曲にも福岡の地名が出てくる故に、こういったところで懐かしさを感じられるのもファンには楽しい部分なのではないか。
この楽曲を契機にして、スルーしてしまっていた最近の楽曲を遡って聴いてみようと個人的に思ったので、「シド、昔聴いてたなぁ」って人には尚更刺さるのではないかと感じる。
最後に
まず前半5曲だったが、今回は聴けば聴くほど髭男の「Cry Baby」の衝撃に改めて気付いて、ただただすげぇ1曲が出たなとドン引きしている。コードのセオリーの概念をひっくり返す、これからのJ-POP界でも歴史的な一曲になるのではないか。それくらいの衝撃。
さて後半にはどんな曲を選ばれるのか。後半もお楽しみに!