最初に
10月の良かった曲の後半5曲の紹介!前半は全てバンドの楽曲になったが、後半はどうなったのか。それも踏まえて残りの5曲をどうぞ!
⑥怪獣/PEOPLE 1
PEOPLE 1は名前だけは聞いていたが、楽曲はまだがっつり触れる機会がなかった。
今回初めてちゃんと聴いたのがこの「怪獣」。
ディストーションをかけたような歪んだ歌声が魅力的だ。このPEOPLE 1は、調べてみると、ItoさんとDeuさんの二人がボーカル担当で、曲によってボーカルを取る方が変わるとの事だった。
今回はDeuさんがボーカルを取った。
これを期にPEOPLE 1の他の楽曲も聞いてみたが、Itoさんのボーカル曲は優しくて柔らかい印象を受ける。この「怪獣」を歌っていると同じバンドかと見紛う(聴き紛う?)ほどだ。二人のボーカルの有益性が大いにある。声がここまで違うとそりゃ音楽性に幅も出るだろう。
話が逸れてしまった(笑)
この曲はとにかく、Deuさんの節回しが個人的に1番のお気に入りポイント。がなるように、ぶつけるように歌ったり、「ダッタラ…」や「ラパッパ…」などのスキャットっぽい歌い方だったり、悉く個性的な歌い方をするのがたまらない。
サウンドは基本的にシンセのフレーズが中心になっている。それが2番になるとエレキギターの音が聞こえてくる。エレキとシンセと絡みあうパートも、1番との聞こえがガラッと変わって面白い。
AメロとBメロで細かく転調するなど、とにかく展開が目まぐるしい印象もある。私自身の頭で処理して、咀嚼しきれる情報量のギリギリのラインだった(笑)
理解するのに時間を要するので何回でも聴きたくなるし、そのうちにサビのキャッチーなフレーズが耳を離れなくなって、頭の中でもこのメロディがこびりついてしまった。どうしてくれようか!
PEOPLE1は今度1stアルバムも出るようなので、この曲が気に入った方はアルバムもチェックしたいところ!
⑦泣き地蔵/Vaundy
夏にYouTubeライブでフジロックを観た。その時のVaundyのアクトが死ぬほど良かったのだが、その時に面食らったのが「怪獣の唄」とこの「泣き地蔵」のパフォーマンスだった。
まだ当時は音源化されておらず、ライブでのみ楽しめる曲だった。
私も配信で初めて聴いたが、イントロのかっこいいリフから既に心を持っていかれた。いや、このフレーズはかっこいいでしょ!
1度聴いただけで、頭から離れない。初聴きで、かなりのインパクトを残すってそうそう出来る芸当ではない。思わずTwitterでその日のセトリを探して、曲名を調べた程の衝撃だった。
今回、満を持しての音源化となったが、音源として腰を据えて聴くと、違う所が見えて楽しい。
歌詞なんて最たる例で、音源を聴きながらじっくり読み込めるので発見や感嘆ができる。
初っぱなから皮肉満点のフレーズが炸裂する。
「僕たちは少数の利益のためのピラミッド」
いきなり世の中の核心をついてしまうような言葉にゾクゾクしてしまう。と、
同時にこのようなパンチラインを最初に持ってくる事で、どのようなテンションの曲かというのをしっかり提示している。
「何回目の最後の警告?じゃあここらで祈り繋いどく?」と始まるサビの歌詞も、最初の歌詞に負けず劣らずパンチのある言葉だ。韻を踏んで心地いい響きと皮肉が相まって、もはや痛快ですらある。
「祈り繋いどく?」って軽い感じがまたいい。その後ろに「(どうせ報われないけど)」と皮肉の言葉が括弧書きで聞こえてきそうだ。
これほどの皮肉の言葉に満ち満ちている曲は、このくらいの長さ(3分程度)がちょうどいい。短くスパッと言いたい事詰め込んで「ハイ、終わり!」なくらいが潔くて気持ちがいい。それも含めて諸々絶妙な曲。
ストレス溜まった時に聴きたい曲、個人的には。ストレスを表に出す前に、聴きながら、サビで一緒に「あぁ、もう!」と叫んで(歌って)みてはどうだろう?もちろん人がいないのを確認してからだが(笑)
⑧KING BITCH/女王蜂
先日の「関ジャム」にもボーカルのアヴちゃんが紹介されていたらしく、改めて注目を浴びている(前からバキバキ売れているけど)女王蜂。
今回の楽曲は、横ノリ気味のトラックにギターのリフが絡むサウンドが特徴的。
タイトルの「KING BITCH」もまた特徴的だ。もともと「BITCH」は「雌犬」という意味で、「嫌な女」などと、侮蔑的に女性を罵るのに使うスラングでもある。一方で「KING」は王様であり、主に男性の王を指す。この矛盾が曲への興味を更に引きつける。
そして、ボーカルのアヴちゃんの表現力には毎度舌を巻く。どうしたって聴こえてくるし、触れずにはいられないほどの存在感をどの曲でも放ってくる。
月並みな表現だが、同じ人が歌っているとは思えない。
サビのファルセットから凄むように歌う低音の音域の広さは勿論、遂にはラップもそつなくこなしてしまうと、もういよいよ「何人で歌ってるか分からんぞ!」という気持ちになる(笑)
様々な歌い方をしているが、ドスの効いた、
「おすわり!お手、おかわり!」
が1番お気に入りのパート。あまりの迫力に思わずゾクッとしてしまう。音源の段階で面食らっているのだから、ライブで聴いたらどうなってしまうのだろう。こわいこわい。
単純にここまで沢山の声色が聴けるのは楽しいし、飽きない。とてつもなく難しい故に、歌ってみたいとチャレンジする方も出てきそう。
あとは、ギターの音が大好物な私にとってはたまらないのが、ギターソロが2回もあるところである。
基本的にはサビのメロディを連想させるフレーズなのだが、速弾きがあったり、エフェクターを更に歪めたり、2回ある故に音色を変える工夫もされていて楽しい。
基本的に横揺れのこの曲におけるギターの役割はデカい。尖ったギターの音がアクセントになって、横揺れ一辺倒にならずにメリハリを付けている。
MVは少々シュールだが、これも一興かな(笑)
しかし、毎回ビジュアルも凝っていて、これも女王蜂が女王蜂たる所以だと思う。音だけでなく全てに抜かりがない。
ちなみに、カップリングでは過去の自分達の楽曲をセルフカバーしているのだが、それも新たな形(全く別物といってもいいほど)に生まれ変わっていて、原曲を知っている人にも楽しめる内容になっている。旧来のファンにも優しい!
今回のシングルで改めて、女王蜂のポテンシャルに震えている。女王蜂の底なしぶりが恐ろしい。今度はどんな表現方法で楽しませてくれるのか。次回作にも楽しみがつながりそうな1曲である。
⑨明け星/LiSA
テレビアニメ『鬼滅の刃 無限列車編』のオープニングになっているこの曲。「紅蓮華」、「炎」に続くタイアップ。
過去の曲も素晴らしかっただけに、作る方も歌う方もプレッシャーが尋常ではないと思うが、またもやすんごい曲が出てきた。(ちなみに作詞作曲は「炎」も手掛けた梶浦由記さん)
この曲をまず聴いてみて、
「メロディや展開が複雑で読めない!」
というのが個人的な第一印象だった。
髭男の「Cry Baby」を筆頭に転調ブームが昨今沸き起こっている気がするが、この曲もブームに拍車をかけそうなくらいの転調祭り。
「違う曲を繋ぎ合わせたのでは?」と思わせるくらい分かりやすい転調はさながらクラシックの組曲のようだ。壮大さを感じられる。
転調はゴージャスに聞こえるので、華やかになるが、場合によってはやり過ぎに聞こえてしまったり、気持ち悪く聞こえてしまったりする事もある。実に諸刃の剣だ。
なかなか安易に手を出せないアレンジだと思う。ここまで分かりやすい転調だと尚更。
しかし、もともとそういった楽曲作りを得意としていたのは、作曲者の梶浦さん。「炎」でもサビ前→サビも不思議なアレンジだったし、所属していたKalafinaでもそういった転調をよく使っていた印象がある。彼女にとっての名刺代わりのようなアレンジである事に気付いた。
しかし、歌う方は大変だ!
全体的に音程が取りにくいメロディ。特にAメロBメロなんて少し音程が外れるだけで大惨事になりそうだし、不思議な所でCメロが入ってくるし、最後にまた聴いたことないメロディが出てくるし。もうカオス。
音程や構成など歌う側からしても情報量が多くて、単純に歌うのが大変だろうなと思う。
ただ、それをそつなく歌いこなすLiSAさんも大概だ(笑)
ここまで難解な曲は歌える人も選ぶだろうし、更に、曲として聴かせられる人も多くない。
LiSAさんの華のある歌声があるからもってる部分もあるのだろう。なかなかここまで聴かせられない。誰が歌っても聴けるという歌じゃないのは確か。
曲の難解さとポップさが絶妙なバランスで成立している。
『鬼滅の刃』やLiSAというコンテンツの影響もあるが、ここまで複雑な曲がメジャーシーンで受け入れられるようになったのは、いい時代になったと思う。
⑩こたえあわせ/JUJU
日テレドラマ「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」の主題歌になっているのが今回のJUJUさんの新曲。実に1年ぶりのシングル。
メロは明るくて、サビだとどことなく切なく聞こえるのがいい。サビがよりドラマチックになって、個人的に好きなポイント。
同じ曲に明るさと切なさが共存していて、異なった2曲を聴いている感覚になるのが楽しい。
あとは、ドラマに寄り添ったであろう歌詞が素敵だなぁと思ったら、ねごとのボーカルだった蒼山幸子さんが作詞をされていた。
「白杖ガール」という名前の通り、弱視者である女の子が主人公のドラマなので、「見る」という言葉が多く登場するのが印象的である。
素敵な人と一緒にいれば世界も見違えるし、夢も鮮やかに見える…
シンプルながら素敵な言葉だ。
タイトルの「こたえあわせ」も最後には
「答え合わせを忘れた ふたりは自由で」
と回収されている。
答えをあえて求めずに自由に生きるというメッセージがいい。というか素直にこうありたいなと思わせる。どうしても、何が正解かをどこかで求めがちになってしまうから。
そして、久しぶりにJUJUさんの楽曲に触れたが、改めて声に色がある方だと感じる。歌声を少し聴いて、「あ!JUJUだ!」とすぐに分かるという意味での「色」である。
もう10年以上活躍しているのだから当たり前なのかもしれないが、裏を返せば「色」がしっかりしている歌声だからこそ、ずっと活躍しているともいえる。
また、JUJUさんはバラードや切ない曲にこそ歌声がよく映える。いや、かっこいいJUJU曲も好きなんだけどさ。
この曲を聴いてドラマも観たくなってきた。もう11月だけど今からでも間に合うかな?(笑)
ドラマとともにこの曲も一緒に楽しんでみてはいかがだろうか。
最後に
という事で後半5曲だった。バンドが半分以上占めた。
いつものようにSpotifyのプレイリストも。合わせて楽しんでもらえたら嬉しい。
さて、残り2ヶ月となり、11月と12月分も選んだ上で個人的な年間ランキングも作りたいと画策中。
今まで選んだ各月10曲×12ヶ月=120曲の中から、今年良かった曲を偏見に偏見を重ねて決めようと思う(笑)
「何が1番になるのか!」とワクワクしている人もいないと思うので、(なんなら決める自分が1番楽しみ) 緩くお付き合いいただけたらなと。
それではまた次の記事にて!
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